10日の朝、何時もより早めの散歩、小雨が降り始めてどんよりとした景色の向こうから、ホトトギス
の鳴く声が 聞こえてきた。
今朝は、まだスズメやハトも鳴きださない時間で、もっと近くで聞きたいとはやる気持ちを抑えながら
愛犬と声のする方へ道路を横断して行った。
声の主はどうやら丘の中腹に建てられた大きなマンションの裏に残された林の中かららしかった。
「特許許可局」・・・「特許許可局」・・・ と間断なく聞こえていた。
この鳥はおそらく旅の途中であったのだろう、聞こえてきたのはこの朝 だけであった。
いい思いをすることがが出来たと思った。
その後ここ2週間ほどはホトトギスと入れ替わりに、「カッコ−」・・「カッコ−」 ・
・と良く鳴いる。
最初の頃はどこかの目覚まし時計の音くらいにしか思っていなかったが、あまりに毎朝不自然に聞
こえて来るので、この近所で「カッコー」の目覚し時計がはやってることでもあるまいと、いろいろ注
意深く聞いていると、これも本物の鳥だと確認できた。
この時期は、ほかの鳥の巣に自分の卵を産み付ける拓卵をしている最中なのだろう。
なかなか上手くいかないのか、それとも余程しつこい達なのか、そんなに広くもない林で毎朝鳴いて
いる。
あの羽をだらっと下げたヒヨドリの姿にも似た カッコ−の鳴く様子を思い出す度に、始めて姿を見た
遠い思い出が蘇ってくる。
そしてカッコーが去って暑くなった今朝は、近くの公園でヒヨドリの巣を見つけた。
それもカラスの雛が巣立ったばかりの同じ椎の樹にである。
僕は,ヒヨドリのカップルは良く考えたなと、巣を作った場所にえらく感心してしまった。
ヒヨドリのカップルは、この直前まで子育てをしていて、いまは姿を消してしまった「カラスのカップル
の威を借りた」巣つくりの場所だと思えたからである。
雛の居る雑食性のカラスの巣に鳥たちは近づかないばかりか、一度運悪く目が合ったりするとしつ
こく攻撃されるし、最悪の場合は餌食にされてしまうからだ。
これでヒヨドリは安心して子育てできると云うことだ。
あとは、公園で遊ぶ子供たちに見つからないように祈るだけだ。
あさの散歩の秘密の楽しみが一つ増えた。
・・・その後何日かして、其の椎の木下に鳥の巣らしきものが散らかっていた。
いつもとまっていた電線にもヒヨドリのカップルの姿はない・・・・
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